ミニバスの試合で最もよく耳にするファウルのひとつが「パーソナルファウル」です。相手を押した、たたいた、つかんだ、進路を不当に妨げたなど、プレーヤー同士の接触が関係します。
ただし、接触があればすべてパーソナルファウルになるわけではありません。接触が不当だったか、相手のプレーに影響したか、どちらが正当な位置を占めていたかを見る必要があります。
その土台になるのが、第33条「コンタクト:基本概念」です。この記事では、2026ミニバスケットボール競技規則 第34条をもとに、パーソナルファウルの基本と、スローイン・フリースローにつながる処置を初心者向けに整理します。
第34条の全体像|パーソナルファウルは接触によるファウル
第34条は、大きく次の内容に分かれます。
- 34-1 定義:パーソナルファウルとは何か
- 34-2 罰則:パーソナルファウルが起きたときの処置
初心者向けにいうと、パーソナルファウルは「プレーヤー同士の不当な接触によるファウル」です。そして、ファウルが起きた場面がショット中か、ショット中ではないかで、その後の処置が変わります。
ファウル全体の入口は、第32条「ファウル」でも整理しています。第34条は、その中でも実際の試合で最も多く出てくる接触ファウルを扱う条文です。
34-1 定義|パーソナルファウルとは何か
34-1-1 プレーヤー同士の不当な接触
パーソナルファウルは、プレーヤーが相手チームのプレーヤーと不当に接触した場合に宣せられるファウルです。ボールがライブかデッドかに関係して判断する場面もあるため、審判はそのときの状況を確認します。
大切なのは、接触があっただけで自動的にファウルではないということです。第33条で整理したシリンダー、リーガルガーディングポジション、接触の原因、有利不利が判断の土台になります。
初心者向けには、押す、たたく、つかむ、体で不当に止めるなど、相手のプレーを不当に妨げる接触がパーソナルファウルになりやすいと考えると分かりやすいです。
- ドリブルしている相手の腕をたたいた
- リバウンドで相手の背中を押した
- 抜かれそうになって相手のユニフォームをつかんだ
- ディフェンスが遅れて進路に入り、体で相手を止めた
- オフェンスが正当な位置にいるディフェンスへ無理に突っ込んだ
このような接触は、状況によってパーソナルファウルとして扱われます。反対に、リバウンドで軽く体が触れた、正当な位置で真上に跳んだ守備者に攻撃側がぶつかった、というだけで必ずファウルになるわけではありません。
パーソナルファウルとバイオレーションの違い
パーソナルファウルは、相手との不当な接触に関係するファウルです。一方、トラベリング、ダブルドリブル、アウトオブバウンズなどはバイオレーションであり、通常は個人ファウルとして記録しません。
TO初心者は、審判のシグナルを見て、ファウルなのかバイオレーションなのかを確認する必要があります。バイオレーションの考え方は、第22条「バイオレーション」で詳しく整理しています。
なお、2026ミニバスケットボール競技規則では第28条「8秒ルール」は適用しないため、ミニバスの代表的なバイオレーションとして8秒を並べて覚える必要はありません。
34-2 罰則|パーソナルファウルの後はどう再開するか
パーソナルファウルが宣せられた場合、そのファウルをしたプレーヤーに個人ファウルが1個記録されます。その後の処置は、ファウルがどの場面で起きたかによって変わります。
初心者は、まず次の3つを見ると整理しやすくなります。
- 誰がファウルしたか
- 相手はショット動作中だったか
- ショットが入ったか、入らなかったか
さらに、チームファウルの状況によってフリースローになる場面があります。チームファウルの細かい処置は第41条で詳しく扱う予定です。
34-2-1 ショット中ではない相手へのファウル
ショット中ではないプレーヤーにパーソナルファウルをした場合、原則としてファウルを受けたチームのスローインで再開します。再開位置は、ファウルが起きた場所に最も近いアウトオブバウンズです。
スローインの場所や始まり方は、第17条「スローイン」でも整理しています。
- ショット動作に入る前の相手の腕をたたいた
- パスを受けようとしている相手をつかんだ
- カットしようとする選手の進路を手で止めた
- リバウンド争いの前に相手を押した
初心者向けには、「シュート中ではない場面の接触ファウルは、まず相手ボールのスローインが基本」と考えると分かりやすいです。ただし、チームファウルの罰則が適用される状況では、フリースローになる場合があります。
34-2-2 ショット中の相手へのファウル
ショット動作中のプレーヤーにパーソナルファウルをした場合、フリースローが関係します。ショットが成功しなかった場合は、そのショットに対応する本数のフリースローが与えられます。
ミニバスではスリーポイントライン、スリーポイントエリアの規定を適用しません。そのため、ミニバスの通常処置として3本のフリースローを前提にしません。ツーポイントゴールエリアからのショットで不成功だった場合は2本、フリースローの場合は1本として整理します。
ショットが成功した場合は得点が認められ、さらに1本のフリースローが与えられる場面があります。初心者向けには、「シュート中にファウルされたら、得点が入ったかどうかで処置が変わる」と考えるとよいでしょう。
- レイアップ中の選手の腕をたたいた
- ゴール下のシュート中に体で押した
- ジャンプシュート中に不当に接触した
- シュートが外れたためフリースローになった
- シュートが入ったため得点+追加のフリースローになった
フリースローの細かい位置や選手の入り方は、第43条で詳しく扱う予定です。この記事では、まず「ショット中かどうか」「入ったかどうか」を押さえます。
ボールをコントロールしているチームのファウルにも注意
ファウルは守備側だけがするものではありません。ボールをコントロールしている攻撃側のプレーヤーがファウルをすることもあります。
たとえば、オフェンス側がスクリーンで動きながら相手にぶつかった、ドライブ中に正当な位置の守備者へ無理に突っ込んだ、肘や腕で相手を押しのけたといった場面です。こうしたオフェンスファウルやチャージングも、第33条のコンタクトの基本概念とつなげて考えます。
ミニバスでよくあるパーソナルファウルの例
腕をたたく
ボールを取りに行ったつもりでも、相手の手や腕をたたくとファウルになることがあります。特にシュート中は、腕への接触がプレーに大きく影響します。
手で止める
抜かれそうになったとき、手で相手の体を止める守り方はミニバスで起こりやすいです。足を動かして正面に入る守り方を練習で伝えるとよいでしょう。
押す
リバウンドやルーズボールで場所を取りたいとき、相手を押してしまう場面があります。手や体で押して相手の位置を動かすと、プッシングになることがあります。
つかむ
ユニフォームや腕をつかんで動きを止めると、ホールディングになります。抜かれそうになったときに起こりやすいので、低学年から「つかまない」を伝えることが大切です。
体で進路をふさぐ
遅れて相手の進路に入り、体で止めるとブロッキングになる可能性があります。先に正当な位置を占めているかどうかが大切です。
審判初心者が見るポイント
- 接触があったか
- その接触は不当か
- どちらが原因で接触したか
- 相手のプレーに影響が出たか
- 相手はショット動作中だったか
- ショットが成功したか、失敗したか
- ファウルをしたのは攻撃側か、守備側か
- スローインで再開するのか、フリースローになるのか
- ミニバスではスリーポイント規定を使わないこと
- TOへ誰のファウルか、フリースローの有無を落ち着いて伝えること
TO初心者が見るポイント
審判がパーソナルファウルを宣したら、TOは誰のファウルかを確認し、個人ファウルとして記録します。チームファウルにも関係するため、チームファウル数の確認も必要です。
フリースローがある場合は、審判のシグナルや伝達で本数を確認します。ミニバスでは3点がないため、3ポイントショットに対する3本フリースローとして処理しません。
分からない場合は、勝手に判断せず、スコアラー、TO主任、審判に確認しましょう。バイオレーションとファウルを混同しないことも大切です。
指導者・保護者が知っておきたいこと
パーソナルファウルは、子どもを責めるためのものではなく、安全で公平にプレーするためのルールです。小学生には「押さない」「たたかない」「つかまない」「手で止めない」「遅れて体を入れない」と伝えると分かりやすいです。
シュート中のファウルではフリースローになる場面があります。一方で、接触があってもすべてがファウルになるわけではありません。審判の判断には、接触の原因、位置、有利不利、ショット動作中かどうかが関係します。
第34条と今後の記事のつながり
第34条はパーソナルファウルの基本です。ここから先は、ダブルファウル、テクニカルファウル、アンスポーツマンライクファウル、ディスクォリファイングファウル、5ファウルによる退場、チームファウル、フリースローなどへつながっていきます。
第35条以降、第40条、第41条、第43条は、今後の記事で詳しく扱います。まずは第34条で、接触ファウルとその基本処置を押さえておくと理解しやすくなります。
インタープリテーション解説|パーソナルファウルで迷いやすい場面
ここからは、条文本文とインタープリテーションの関係を分けて整理します。今回確認した範囲では、第34条「パーソナルファウル」に直接対応するミニバス独自のインタープリテーションは確認できませんでした。
そのため、この記事では条文本文と第33条のコンタクトの基本概念に基づいて、接触によるファウルの見方を整理しています。実際の判定では、審判講習会や大会ごとの確認事項もあわせて確認してください。
よくある質問
Q. パーソナルファウルとは何ですか?
A. プレーヤーが相手チームのプレーヤーと不当に接触した場合に宣せられるファウルです。
Q. 接触したら必ずパーソナルファウルですか?
A. 必ずではありません。接触の原因、位置、有利不利、プレーへの影響を見て判断します。
Q. ショット中にファウルされたらどうなりますか?
A. ショットが入らなかった場合はフリースローが与えられる場面があります。ショットが入った場合は得点が認められ、さらに1本のフリースローが与えられる場面があります。
Q. ミニバスで3点シュート中のファウルはありますか?
A. ミニバスではスリーポイントライン、スリーポイントエリアの規定は適用しません。そのため、3点シュート中のファウルとして3本のフリースローを扱う説明はしません。
Q. TOは何を確認すればよいですか?
A. 誰のファウルか、チームファウルに数えるか、フリースローがあるか、本数はいくつかを、審判のシグナルや伝達で確認します。
まとめ
第34条は、パーソナルファウルを定めた条文です。パーソナルファウルは、プレーヤー同士の不当な接触によるファウルです。
接触があっても必ずファウルではなく、第33条のコンタクトの基本概念が判断の土台になります。ショット中ではないファウルは、原則として相手チームのスローインで再開します。ショット中のファウルでは、得点の成否や状況によりフリースローが関係します。
ミニバスではスリーポイント規定を適用しないため、3点や3本フリースローの説明には注意が必要です。TO初心者は、誰のファウルか、フリースローの有無、本数を審判の伝達で確認しましょう。
2026年競技規則の各条文をまとめて確認したい方は、2026バスケットボール競技規則をミニバス向けに解説|第1条〜第50条まとめをご覧ください。

