ミニバスの試合では、相手を押した、たたいたといった接触によるファウルだけでなく、態度やベンチの行為、ゲームを遅らせる行為などでファウルが宣せられることがあります。
これが第36条「テクニカルファウル」です。テクニカルファウルは、相手プレーヤーとの接触によるファウルとは性質が違います。
審判初心者、TO初心者、指導者初心者にとっては、「誰に記録するのか」「フリースローはあるのか」「その後どこから再開するのか」が分かりにくい条文です。この記事では、2026ミニバスケットボール競技規則 第36条をもとに、テクニカルファウルの基本を整理します。
第36条の全体像|接触がなくても宣せられるファウル
第36条は、大きく次の内容に分かれます。
- 36-1 行動の規定:競技に関わる人が守るべき態度
- 36-2 定義:テクニカルファウルになる行為
- 36-3 罰則:誰に記録し、どのように処置するか
初心者向けにいうと、テクニカルファウルは、相手との接触ではなく、スポーツマンらしくない行為やゲームの進行を妨げる行為に対するファウルです。接触によるファウルを扱う第34条「パーソナルファウル」や、双方の接触ファウルを扱う第35条「ダブルファウル」とは、見るポイントが変わります。
36-1 行動の規定|スポーツマンシップを守る
第36条の入口では、ゲームはプレーヤー、ヘッドコーチ、アシスタントコーチ、交代要員、チーム関係者、審判、TOなど、競技に関わる人たちの協力で成り立つものだと整理されています。
両チームは勝つために全力を尽くしますが、それはスポーツマンシップとフェアプレーの精神に基づいていなければなりません。ミニバスでは、子どもたちが安心してプレーできる環境を作ることが特に大切です。
審判への不満、相手への挑発、ベンチからの過度な発言、ゲームを遅らせる行為などは、テクニカルファウルにつながる場合があります。初心者向けには「プレー以外の態度や言動もルールの対象になる」と考えると分かりやすいです。
- 審判の判定に対して大きく抗議し続ける
- 相手チームや相手選手を挑発する
- ベンチから不適切な発言をする
- 審判の指示に従わず、ゲームを遅らせる
- 警告を受けても同じ行為を繰り返す
36-2 定義|テクニカルファウルになる行為
36-2-1 接触のないファウル
テクニカルファウルは、相手チームのプレーヤーとの体の触れ合いを伴わない振る舞いに対して宣せられるファウルです。
相手を押す、たたく、つかむなどの接触はパーソナルファウルの対象になります。一方、接触がなくても、スポーツマンらしくない言動、審判やTOへの失礼な態度、ゲームの進行を妨げる行為などはテクニカルファウルになる場合があります。
接触によるファウルの土台は、第33条「コンタクト:基本概念」で整理しています。第36条では、接触ではなく振る舞い・態度・進行妨害を中心に見ます。
36-2-2 テクニカルファウルになりやすい行為
テクニカルファウルにつながりやすい行為には、次のようなものがあります。条文では具体例が示されていますが、ここではミニバス現場でイメージしやすい形に言い換えます。
- 審判からの警告を無視する
- 審判、TO、相手チーム、ベンチ関係者へ敬意を欠く態度をとる
- 相手チームのプレーヤーを挑発したり、侮辱したりする
- 観客をあおるような言動をとる
- 相手の視野を不当に妨げるような行為をする
- ボールを返さない、再開を遅らせるなど、ゲームの進行を妨げる
- ファウルを受けたように過度に見せかける
ミニバスの記事として大切なのは、子どもを責める表現にしないことです。テクニカルファウルは、子どもだけでなく、ヘッドコーチ、アシスタントコーチ、交代要員、チーム関係者など、ベンチに関わる大人の行為も対象になる場合があります。
パーソナルファウルとの違い
| 項目 | パーソナルファウル | テクニカルファウル |
|---|---|---|
| 主な原因 | 相手との不当な接触 | 接触を伴わないスポーツマンらしくない行為や遅延行為 |
| よくある例 | 押す、たたく、つかむ、体で不当に止める | 抗議、挑発、遅延行為、ベンチからの不適切な言動 |
| 対象 | 主にプレーヤー同士の接触 | プレーヤー、ヘッドコーチ、ベンチ関係者など |
| 記録 | 該当プレーヤーに個人ファウルとして記録 | 誰の行為かにより記録の扱いが変わる |
| 初心者の覚え方 | 体の接触によるファウル | 態度・言動・進行妨害のファウル |
テクニカルファウルは「接触がないからファウルではない」とは言えないところがポイントです。ファウル全体の考え方は、第32条「ファウル」ともつながります。
36-3 罰則|誰に記録し、どう処置するか
テクニカルファウルが宣せられた場合、相手チームに1本のフリースローが与えられます。その後の再開は、原則としてテクニカルファウルが宣せられたときに行われていた、または行われるはずだった状態から再開します。
TO初心者が特に注意したいのは、「誰の行為か」によって記録の扱いが変わることです。審判の伝達を必ず確認し、勝手に判断しないようにします。
プレーヤーのテクニカルファウル
プレーヤーがテクニカルファウルを宣せられた場合、そのプレーヤーに1個のテクニカルファウルが記録されます。これはチームファウルにも数えられます。
初心者向けには、「コート上の選手本人の行為なら、その選手に記録する」と考えると分かりやすいです。
ヘッドコーチのテクニカルファウル
ヘッドコーチ自身のスポーツマンらしくない言動などによる場合、ヘッドコーチにテクニカルファウルが記録されます。記録上の表記や扱いは、審判・スコアラーの確認が必要です。
ミニバスでは、ベンチの大人の態度が子どもたちの雰囲気に大きく影響します。強い抗議や相手への不適切な言動を避け、子どもたちが安心してプレーできる環境を守ることが大切です。
ベンチ関係者のテクニカルファウル
アシスタントコーチ、交代要員、5個のファウルを宣せられたプレーヤー、チーム関係者などの行為によるテクニカルファウルは、ヘッドコーチに記録される場面があります。この場合、チームファウルに数えない扱いになるため、TO初心者は特に確認が必要です。
誰の行為なのか、誰に記録するのか、チームファウルに数えるのかは、審判の伝達を見て、分からなければTO主任や審判に確認しましょう。
テクニカルファウル後の再開方法
テクニカルファウルでは、相手チームに1本のフリースローが与えられます。フリースローは、他の罰則の順序にかかわらず直ちに行われる場面があります。
フリースローの後は、テクニカルファウルが起きる前に行われていた、または行われる予定だったゲームの状態から再開します。つまり、テクニカルファウルだけで必ず相手ボールになるわけではありません。
審判初心者・TO初心者は、「1本のフリースロー」と「その後どこから再開するか」をセットで確認します。スローインの再開位置は、第17条「スローイン」の考え方ともつながります。
2回目のテクニカルファウルに注意
プレーヤーやヘッドコーチが一定のテクニカルファウルを受けると、失格・退場に関係する場合があります。第36条では、プレーヤーに記録されたテクニカルファウルやアンスポーツマンライクファウルの累積、ヘッドコーチに記録されるテクニカルファウルの累積について整理されています。
ただし、失格・退場の細かい条件は第37条、第38条、第40条などとも関係します。この記事では概要にとどめます。TO初心者は、テクニカルファウルが何回目か、誰に記録されたかを正確に確認することが大切です。
ミニバス現場で特に注意したい場面
判定への過度な抗議
指導者やベンチが大きく抗議し続けると、子どもたちの雰囲気にも影響します。ミニバスでは、まず子どもたちが安心してプレーできる環境を守ることが大切です。
ベンチからの不適切な発言
相手選手、審判、TOへの不適切な発言は避けます。チーム関係者全体でマナーを守ることが、試合を落ち着いて進める助けになります。
遅延行為
ボールを返さない、審判の指示に従わない、再開を意図的に遅らせるといった行為は、テクニカルファウルにつながる可能性があります。
ファウルを受けたように見せかける行為
大げさに倒れる、過度に反応するなどの行為は、スポーツマンシップの観点から問題になります。小学生には、正直にプレーすることを伝えるとよいでしょう。
審判初心者が見るポイント
- 接触によるファウルなのか、接触のないテクニカルファウルなのか
- 誰の行為か
- プレーヤーか、ヘッドコーチか、ベンチ関係者か
- 警告で済む場面か、テクニカルファウルが必要な場面か
- 相手チームに1本のフリースローを与える場面か
- フリースロー後の再開位置と再開方法
- TOに誰に記録するのかを明確に伝えられているか
- 子どもたちの安全と安心を守る視点を持てているか
TO初心者が見るポイント
- テクニカルファウルが誰に記録されるかを審判に確認する
- プレーヤー本人なのか、ヘッドコーチなのか、ベンチ関係者の行為によるものなのかを確認する
- 相手チームに1本のフリースローがあることを確認する
- フリースロー後の再開方法を確認する
- チームファウルに数えるかどうかを確認する
- 記録表の記入方法は大会や運用に従い、不明な場合はTO主任・審判に確認する
テクニカルファウルは記録の扱いが難しい場面があります。TOが勝手に判断せず、審判の伝達を待つことが大切です。
指導者・保護者が知っておきたいこと
テクニカルファウルは、子どもだけでなくベンチや大人の態度にも関係します。審判やTOへの強い抗議、相手チームへの不適切な言動は、子どもたちの試合環境を悪くしてしまうことがあります。
ミニバスでは、勝敗だけでなく、スポーツマンシップを学ぶことも大切です。保護者も、ベンチや観客席からの言動が試合に影響する可能性があることを知っておくと、より安心して応援できます。
指導者は、子どもに「相手、審判、TOを尊重する」ことを伝えるとよいでしょう。
インタープリテーション解説|テクニカルファウルで迷いやすい場面
ここからは、条文本文とインタープリテーションの関係を分けて整理します。今回確認した範囲では、第36条「テクニカルファウル」に直接対応するミニバス独自のインタープリテーションは確認できませんでした。
そのため、この記事では条文本文に基づいて、接触を伴わないスポーツマンらしくない行為、ゲームの遅延、記録と処置を説明しています。実際の運用は、大会要項や審判講習会、TO主任・審判の伝達もあわせて確認してください。
よくある質問
Q. テクニカルファウルとは何ですか?
A. 相手との接触ではなく、スポーツマンらしくない言動、審判やTOへの不適切な態度、ゲームの遅延などに対して宣せられるファウルです。
Q. 接触がなくてもファウルになりますか?
A. はい。テクニカルファウルは、接触がなくても宣せられる場合があります。
Q. テクニカルファウルではフリースローがありますか?
A. 原則として、相手チームに1本のフリースローが与えられます。その後の再開は、テクニカルファウルが起きる前のゲームの状態に戻して行われます。
Q. ベンチの人の行為でもテクニカルファウルになりますか?
A. はい。ヘッドコーチ、アシスタントコーチ、交代要員、チーム関係者などの行為も対象になる場合があります。
Q. TOは何を確認すればよいですか?
A. 誰に記録するのか、フリースローが1本あるか、フリースロー後にどこから再開するかを、審判の伝達で確認します。
まとめ
第36条は、テクニカルファウルを定めた条文です。テクニカルファウルは、接触ではなく、スポーツマンらしくない行為やゲームの遅延などに関係します。
プレーヤーだけでなく、ヘッドコーチやベンチ関係者も対象になる場合があります。相手チームに1本のフリースローが与えられ、フリースロー後の再開は元のゲームの状態に戻して行われます。
TO初心者は、誰に記録するのか、チームファウルに数えるのか、フリースロー後の再開方法を必ず確認しましょう。ミニバスでは、子どもたちが安心してプレーできるよう、スポーツマンシップを守ることが大切です。
2026年競技規則の各条文をまとめて確認したい方は、2026バスケットボール競技規則をミニバス向けに解説|第1条〜第50条まとめをご覧ください。

