ミニバスの試合では多くは起こりませんが、ルールとして知っておきたい重いファウルが「ディスクォリファイングファウル」です。
ディスクォリファイングファウルは、通常のパーソナルファウルやアンスポーツマンライクファウルよりもさらに重く、失格・退場に関わります。暴力的な行為、著しくスポーツマンシップに反する行為、安全を大きく損なう行為などが関係します。
審判初心者やTO初心者には、「誰に記録するのか」「退場後はどうするのか」「フリースローと再開はどうなるのか」が分かりにくいところです。
この記事では、2026ミニバスケットボール競技規則 第38条をもとに、ディスクォリファイングファウルの基本を初心者向けに整理します。
第38条の全体像|失格・退場に関わる重いファウル
第38条は、大きく次の内容に分かれます。
- 38-1 定義:ディスクォリファイングファウルとは何か
- 38-2 暴力行為や乱暴な行為への対応
- 38-3 罰則:誰に記録し、どう処置するか
- 38-4 ファイティングに関係する処置
初心者向けに言えば、ディスクォリファイングファウルは、試合から退かなければならないほど重い行為に対するファウルです。
ただし、子どもを責めるための言葉ではありません。安全で公平な試合を守り、子どもたちが安心してプレーするためのルールとして理解することが大切です。
38-1 定義|ディスクォリファイングファウルとは何か
ディスクォリファイングファウルは、プレーヤー、ヘッドコーチ、アシスタントコーチ、交代要員、5個のファウルを宣せられたプレーヤー、チーム関係者などによる、著しくスポーツマンらしくない行為に対して宣せられる重いファウルです。
対象になるのは、相手への暴力的な行為、審判やTOへの重大な不適切行為、試合の安全や公平性を大きく損なう行為などです。初心者向けには「そのまま試合に参加させ続けることができないほど重い行為」と考えると分かりやすいです。
通常の接触ファウルや軽い抗議とは区別します。態度や言動に関わる重いファウルとしては第36条「テクニカルファウル」があり、接触の中で通常より重く扱うものとして第37条「アンスポーツマンライクファウル」があります。第38条は、その中でもさらに重い「失格・退場」に関わる条文です。
ミニバス版の規則では、ヘッドコーチにディスクォリファイングファウルが記録された場合、スコアシートに記入されているファーストアシスタントコーチが役目を引き継ぐ整理になっています。一般競技規則にあるキャプテン引き継ぎの扱いは、ミニバスではそのまま使いません。
テクニカルファウル・アンスポーツマンライクファウルとの違い
| 項目 | テクニカルファウル | アンスポーツマンライクファウル | ディスクォリファイングファウル |
|---|---|---|---|
| 主な原因 | 接触を伴わないスポーツマンらしくない行為や遅延行為 | 通常より重く扱う接触のファウル | 著しくスポーツマンらしくない行為や重大な危険行為 |
| よくある例 | 抗議、挑発、遅延行為 | ボールに正当にプレーしていない接触、過度に激しい接触、速攻を止める接触 | 暴力的な行為、重大な不適切行為、試合に参加させ続けられない行為 |
| 対象 | プレーヤー、ヘッドコーチ、ベンチ関係者など | プレーヤー | プレーヤー、ヘッドコーチ、ベンチ関係者など |
| 重さ | 重いが失格とは限らない | 通常のファウルより重い | 失格・退場に関わる非常に重いファウル |
| 初心者の覚え方 | 態度・言動・遅延 | 危険・不当性が強い接触 | 試合から退く必要がある重大行為 |
ディスクォリファイングファウルは、単に「強いファウル」というだけではありません。特に悪質でスポーツマンシップに反する行為、または試合の安全を大きく損なう行為として、通常よりも重く処置されます。
接触の基本を確認したい場合は第33条「コンタクト:基本概念」、通常の接触ファウルとの違いを確認したい場合は第34条「パーソナルファウル」もあわせて読むと理解しやすくなります。
38-2 暴力行為や乱暴な行為への対応
暴力行為や乱暴な行為は、試合の安全と公平性を大きく損ないます。プレーヤーだけでなく、ベンチ関係者やチーム関係者の行為も対象になり得ます。
ミニバスでは、子どもたちが安心してプレーできる環境を守ることが最優先です。審判は、必要に応じて試合を止め、安全を確保し、競技規則に従って処置します。
具体的には、相手を殴る、蹴る、突き飛ばすなどの暴力的行為、審判やTOに対する重大な不適切行為、ベンチからコートに入ってトラブルに加わる行為、相手を威嚇する危険な行為などが問題になります。
また、用具や器具を壊すおそれのある行為も、試合運営と安全に関わります。状況によっては警告、テクニカルファウル、さらに重いディスクォリファイングファウルへ進む場合があります。
実際の判断や処置は、審判、大会責任者、競技規則に従います。指導者や保護者も、感情的な行動や過度な抗議が子どもたちに影響することを理解しておきたいところです。
38-3 罰則|失格・退場とフリースロー
ディスクォリファイングファウルを宣せられた当該者には、1個のディスクォリファイングファウルが記録されます。そして、その人は失格となり、ゲームから退かなければなりません。
失格・退場となった人は、ゲームが終わるまで自チームの控室にとどまるか、建物から出る扱いになります。ミニバス現場では大会運用や会場事情もあるため、審判、大会役員、TO主任の指示に従うことが大切です。
プレーヤーに宣せられた場合
プレーヤーにディスクォリファイングファウルが宣せられた場合、そのプレーヤーに記録され、失格・退場になります。
体の触れ合いを伴うディスクォリファイングファウルでは、ファウルをされたプレーヤーがフリースローを行います。ショット動作中かどうか、ショットが成功したかどうかによって本数が変わるため、TO初心者は審判の伝達を必ず確認します。
ヘッドコーチ・ベンチ関係者に宣せられた場合
ヘッドコーチ、アシスタントコーチ、交代要員、5個のファウルを宣せられたチームメンバー、チーム関係者などの行為でも、ディスクォリファイングファウルが宣せられる場合があります。
体の触れ合いを伴わないディスクォリファイングファウルでは、フリースローシューターをヘッドコーチが指定する場面があります。また、ベンチ関係者の行為はヘッドコーチへの記録として扱われる場合もあるため、TO初心者は「誰の行為か」「誰に記録するのか」を審判に確認しましょう。
ミニバスでは、大人の言動が子どもたちに大きく影響します。ベンチ関係者の態度も、安心してプレーできる環境づくりの一部です。
フリースローと再開方法|TO初心者が迷いやすいポイント
ディスクォリファイングファウルでは、相手チームにフリースローが与えられます。フリースローの本数は、ファウルの内容や場面によって変わります。
- 体の触れ合いを伴わない場合:2本のフリースロー
- ショット動作中ではないプレーヤーがファウルされた場合:2本のフリースロー
- ショット動作中にファウルされ、ショットが成功した場合:得点を認めて、さらに1本のフリースロー
- ショット動作中にファウルされ、ショットが不成功だった場合:2本のフリースロー
ミニバスではスリーポイントの規定を適用しないため、3本のフリースローは通常のミニバス処置として扱いません。
フリースロー後は、規則に従ってスローインなどで再開します。ミニバスでは一般競技規則のスローインラインを適用しないため、再開位置を一般ルールのまま説明しないことが大切です。第38条では、スコアラーズテーブルの反対側のセンターライン延長線上からのスローインが関係します。スローインの基本は、第17条「スローイン」の記事も参考になります。
TO初心者は、フリースロー本数、シューター、失格・退場の対象者、フリースロー後の再開方法を、審判の伝達で確認します。
38-4 ファイティング|ベンチから出てはいけない場面
ファイティングとは、暴力的な争いやトラブルに関係する規定です。実際の第39条で詳しく扱われますが、第38条でも、ファイティングに関係する失格・退場や罰則を理解しておく必要があります。
抗争が起こったとき、または起こりそうなときに、交代要員やチーム関係者がベンチエリアから出てトラブルに加わることは重大な問題になります。
ヘッドコーチやファーストアシスタントコーチには、争いを止めるために認められる役割がある場合もあります。しかし、コートに入ったのに争いを止めようとしない、状況を悪化させるといった行為は問題になります。
ミニバスでは、子どもたちを落ち着かせ、安全を守ることが最優先です。TO初心者は、自分で判断せず、審判、大会役員、TO主任の指示に従います。第39条ファイティングは、今後の記事で詳しく扱います。
ミニバス現場で特に注意したい場面
感情的な接触や報復行為
ぶつかられた後に、やり返すような接触をする。悔しさから相手を押す、突き飛ばす。このような行為は、試合の安全を大きく損ないます。
子どもには「やり返さない」「一度離れる」「審判やコーチの指示を聞く」と伝えるとよいでしょう。
ベンチからの過度な言動
審判やTOに強く抗議し続ける、相手チームを威圧する、子どもの試合環境を悪くする言動を続けることは避けなければなりません。
ミニバスでは、ベンチや観客席の大人の姿勢も、子どもたちの学びにつながります。
トラブル時にコートへ入る行為
ベンチや関係者が慌ててコートへ入ると、状況がさらに混乱することがあります。状況を落ち着かせる目的ではなく、トラブルに加わる行為は問題になります。
大会運用や審判の指示に従い、子どもたちの安全を優先します。
安全面を最優先にする
ミニバスでは、勝敗よりも安全な環境を守ることが大切です。危険な行為があった場合は、すぐに落ち着かせ、必要に応じて審判や大会役員の指示を受けます。
審判初心者が見るポイント
- 通常のファウルか、アンスポーツマンライクファウルか、ディスクォリファイングファウルか
- 著しくスポーツマンらしくない行為か
- 暴力的または重大な危険行為か
- 誰の行為か
- プレーヤーか、ヘッドコーチか、ベンチ関係者か
- 失格・退場の対象か
- フリースロー本数と再開方法をTOへ明確に伝えられるか
- 安全確保ができているか
- 大会責任者やTO主任との連携が必要か
TO初心者が見るポイント
- ディスクォリファイングファウルが誰に記録されるかを審判に確認する
- プレーヤー、ヘッドコーチ、ベンチ関係者のどの行為かを確認する
- 失格・退場の対象者を確認する
- フリースロー本数を確認する
- フリースロー後の再開方法を確認する
- 記録表の記入方法は大会運用や審判の伝達に従う
- 分からない場合は、勝手に処理せず、スコアラー、TO主任、審判に確認する
TOはディスクォリファイングファウルを判定する役割ではありません。審判の伝達を正確に受け取り、記録、フリースロー、再開方法を確認する役割です。
指導者・保護者が知っておきたいこと
ディスクォリファイングファウルは、子どもを責めるためではなく、安全と公平性を守るためのルールです。
ミニバスでは、感情的な行為を防ぎ、子どもが安心してプレーできる環境を作ることが大切です。指導者は、相手、審判、TOを尊重する姿勢を日頃から伝えるとよいでしょう。
保護者も、試合中の言動が子どもや試合環境に影響することを理解しておくと、落ち着いて観戦しやすくなります。トラブル時は、審判や大会役員の指示に従うことが大切です。
インタープリテーション解説|ディスクォリファイングファウルで迷いやすい場面
【インタープリテーション解説】
今回確認した範囲では、第38条「ディスクォリファイングファウル」に直接対応する個別のインタープリテーション事例は確認できませんでした。
一方で、JBAプレーコーリング・ガイドラインでは、ディスクォリファイングファウルの対象として、通常のバスケットボールプレーから大きく逸脱した暴力的行為、重大なけがにつながる危険な接触、審判や観客への重大な不適切行為などが整理されています。
これは条文本文そのものではなく、JBAプレーコーリング・ガイドラインに基づく補足として読みます。推測で「この場面は必ずDQ」と決めつけず、実際の処置は競技規則、審判の判断、大会運用に従うことが大切です。
よくある質問
Q. ディスクォリファイングファウルとは何ですか?
A. 著しくスポーツマンらしくない行為や重大な危険行為などに対して宣せられる、失格・退場に関わる非常に重いファウルです。
Q. アンスポーツマンライクファウルとは違いますか?
A. 違います。アンスポーツマンライクファウルも通常より重いファウルですが、ディスクォリファイングファウルはさらに重く、試合から退かなければならない扱いになります。
Q. ベンチの人も対象になりますか?
A. はい。プレーヤーだけでなく、ヘッドコーチ、アシスタントコーチ、交代要員、チーム関係者なども対象になる場合があります。
Q. ディスクォリファイングファウルではフリースローがありますか?
A. はい。相手チームにフリースローが与えられます。本数や再開方法は、ファウルの内容や審判の伝達を確認してください。
Q. TOは何を確認すればよいですか?
A. 誰に記録するのか、誰が失格・退場になるのか、フリースロー本数、フリースロー後の再開方法を審判に確認します。
まとめ
- 第38条は、ディスクォリファイングファウルを定めた条文
- ディスクォリファイングファウルは、失格・退場に関わる非常に重いファウル
- 暴力的行為、重大な危険行為、著しくスポーツマンらしくない行為などが関係する
- プレーヤーだけでなく、ヘッドコーチやベンチ関係者も対象になる場合がある
- 処置では、フリースローとその後の再開方法、退場の扱いを確認する必要がある
- TO初心者は、記録、退場者、フリースロー本数、再開方法を審判に確認することが大切
- ミニバスでは、子どもたちが安心してプレーできる環境を守ることが最も大切
2026年競技規則の各条文をまとめて確認したい方は、2026バスケットボール競技規則をミニバス向けに解説|第1条〜第50条まとめをご覧ください。

