ミニバスの試合を見ていると、選手同士がぶつかった場面で「今のはファウル?」「接触しているのに、なぜ笛が鳴らないの?」と迷うことがあります。
バスケットボールでは、接触があったからといって必ずファウルになるわけではありません。大切なのは、どちらのプレーヤーが正当な位置を占めていたか、相手の動きを不当に妨げたか、プレーに影響があったかを落ち着いて見ることです。
第33条「コンタクト:基本概念」は、第32条「ファウル」で整理したファウルの考え方を、実際の接触場面に当てはめるための土台になる条文です。この記事では、2026ミニバスケットボール競技規則 第33条をもとに、審判初心者・指導者初心者・TO初心者にも分かるように整理します。
- 第33条の全体像|接触がすべてファウルではない
- まず押さえたい基本原則|接触があっても必ずファウルではない
- 33-1 シリンダー|自分の空間を守る考え方
- 33-2 真上に跳ぶ権利|まっすぐ上に跳んだ選手の権利
- 33-3 リーガルガーディングポジション|正当な守備位置とは
- 33-4 ボールを持っている選手への守り方
- 33-5 ボールを持っていない選手への守り方
- 33-6 空中にいるプレーヤー
- 33-7 スクリーン|味方を助ける動きにもルールがある
- 33-8 チャージング|攻撃側が相手にぶつかるファウル
- 33-9 ブロッキング|相手の進路を不当に妨げるファウル
- 33-10 ノーチャージセミサークル|ミニバスでは適用しない
- 33-11 手や腕の使い方|触っただけでなく影響を見る
- 33-12 ポストプレー|ゴール近くの体の使い方
- 33-13 後ろからの不当なガード
- 33-14 ホールディング|相手をつかむファウル
- 33-15 プッシング|相手を押すファウル
- 33-16 ファウルをされたように見せかけること
- ファウルとバイオレーションは分けて考える
- 第33条を審判初心者が見るチェックリスト
- 指導者・保護者が知っておきたいこと
- インタープリテーション解説|コンタクトの判断で迷いやすい場面
- よくある質問
- まとめ
第33条の全体像|接触がすべてファウルではない
第33条は、ファウルの種類を覚える前に、どの接触が正当で、どの接触が不当なのかを見るための基本をまとめた条文です。
- シリンダーの考え方
- 真上に跳ぶ権利
- リーガルガーディングポジション
- ボールを持っている選手、持っていない選手への守り方
- スクリーン、チャージング、ブロッキング
- 手や腕、肘、ポストプレー、押す・つかむ動き
- ファウルをされたように見せかける行為
初心者は、まず「接触があったか」だけでなく、「正当な位置を占めていたのはどちらか」「相手の動きを不当に止めたか」を見ると、ファウル判定の考え方が少しずつ整理しやすくなります。
まず押さえたい基本原則|接触があっても必ずファウルではない
バスケットボールは、限られたコートの中で10人が同時に動く競技です。リバウンド、ドライブ、スクリーン、ルーズボールなどでは、体の接触を完全になくすことはできません。
そのため、審判は接触そのものだけでなく、接触の原因、位置、強さ、プレーへの影響、有利不利を見て判断します。リバウンドで体が少し触れた、ドリブル中に肩が近づいた、スクリーン付近で軽く接触したというだけで、自動的にファウルになるわけではありません。
一方で、押す、つかむ、手で止める、相手の進路に遅れて入ってぶつかるなど、相手の自由な動きやプレーを不当に妨げる接触はファウルにつながります。
33-1 シリンダー|自分の空間を守る考え方
シリンダーとは、プレーヤーの体を中心にした円筒状の空間の考え方です。プレーヤーには、自分のシリンダー内で正当にプレーする権利があります。
反対に、相手のシリンダーへ腕や体を不当に入れて接触を起こすと、ファウルにつながります。たとえば、ディフェンスが手を伸ばしすぎて相手の腕に当たる、オフェンスが肘を広げて相手を押しのける、リバウンドで相手の背中に乗るように体を入れる場面です。
オフェンスのプレーヤーも、ボールを持っているから何をしてもよいわけではありません。ドリブル、ピボット、パス、ショットの動きは認められますが、相手を押しのけるために腕や脚を広げると不当な接触になります。ピボットや足の使い方は、第25条「トラベリング」とも関係します。
33-2 真上に跳ぶ権利|まっすぐ上に跳んだ選手の権利
プレーヤーには、自分の位置から真上に跳ぶ権利があります。守備者が正当な位置を占め、腕や体を自分のシリンダー内に保って真上に跳んでいる場合、オフェンスがぶつかったからといって必ず守備側のファウルになるわけではありません。
ゴール下でディフェンスが両手を上げて真上に跳び、オフェンスがシュートに行って接触した場面では、守備者が前に飛び出したのか、真上に跳んでいたのかが大切です。リング付近のボールへの関わりは、第31条「ゴールテンディング、インタフェアレンス」とも別に整理しておくと分かりやすくなります。
33-3 リーガルガーディングポジション|正当な守備位置とは
リーガルガーディングポジションとは、守備者が相手に対して正当に守る位置を占めた状態です。基本は、相手に正対し、両足を床につけていることです。
一度正当な守備位置を占めたあとは、相手の動きに合わせて横や後ろに動いて守ることもできます。ポイントは「先に正しい場所を取れていたか」です。相手の進路へ遅れて横から入った場合は、ブロッキングにつながることがあります。
33-4 ボールを持っている選手への守り方
ボールを持っているプレーヤーは、いつ方向やスピードを変えるか分かりません。そのため、守備者は相手の動きに素早く対応する必要があります。
ただし、守備者が手で止めたり、体をぶつけたりしてよいわけではありません。反対に、オフェンス側も正当な守備位置にいる相手へ無理に突っ込むと、チャージングになることがあります。ドリブルを止めた後のプレーは、第24条「ドリブル」の理解ともつながります。
33-5 ボールを持っていない選手への守り方
ボールを持っていないプレーヤーにも、自由に動いてボールを受ける権利があります。守備者は、その動きを手でつかんだり、体で不当に止めたりしてはいけません。
一方で、守備者にも正当な位置を占める権利があります。ボールを持っていない選手への守りでは、距離とタイミングが特に大切です。相手が避けられない近さで突然進路に入ると、不当な接触になることがあります。
33-6 空中にいるプレーヤー
ジャンプしたプレーヤーには、元の位置に着地する権利があります。また、ジャンプした時点で着地場所が空いていた場合、その場所へ着地する権利も考えられます。
空中の選手の下に遅れて入ると、着地を妨げる危険な接触になります。ミニバスでは安全面が特に大切なので、シュートやリバウンドで空中にいる選手の着地点に無理に入らないよう指導することが大切です。
33-7 スクリーン|味方を助ける動きにもルールがある
スクリーンは、味方が動きやすくなるように、自分の体で相手の進路に立つプレーです。正当なスクリーンは認められます。
ただし、動きながらぶつかる、腕や足を広げる、相手の視野外で近すぎる位置に立つなどは、不当なスクリーンになる可能性があります。初心者には「スクリーンは止まって、相手が避けられる距離を考える」と伝えると分かりやすいです。
33-8 チャージング|攻撃側が相手にぶつかるファウル
チャージングは、オフェンス側のプレーヤーが相手の胴体へ不当に接触するプレーです。ボールを持っている場合だけでなく、ボールを持っていない場合にも起こります。
守備者が先に正当な位置を占めているところへ、攻撃側が無理に突っ込むとチャージングになることがあります。ミニバスではスピードに乗ったドライブで起こりやすいので、「相手が先にいる場所へ無理に入らない」ことを教えるとよいでしょう。
33-9 ブロッキング|相手の進路を不当に妨げるファウル
ブロッキングは、相手の進行を体で不当に妨げる接触です。守備者が遅れて進路に入り、相手の動きを止めるとブロッキングになることがあります。
ブロッキングは守備側だけのものではありません。オフェンス側でも、動く相手の進路を不当に妨げればブロッキングにつながります。チャージングとブロッキングは、接触の原因と位置関係を落ち着いて見ることが大切です。
33-10 ノーチャージセミサークル|ミニバスでは適用しない
一般競技規則には、ノーチャージセミサークルに関する規定があります。しかし、2026ミニバスケットボール競技規則では、ノーチャージセミサークルの規定は適用しません。
そのため、ミニバスでは一般競技規則のノーチャージセミサークルの考え方をそのまま持ち込まないようにします。チャージングやブロッキングの判断は、シリンダー、リーガルガーディングポジション、接触の原因などの基本概念に沿って整理します。
33-11 手や腕の使い方|触っただけでなく影響を見る
手や腕で相手に触れたことが、すべてファウルになるわけではありません。ただし、その接触によって相手の動きを止める、押す、つかむ、バランスを崩させる場合はファウルにつながります。
ミニバスでは、足が追いつかずに手で相手を止める守り方が起こりやすいです。指導では「手で止めない」「押さない」「つかまない」「足を動かして正面に入る」と伝えると実戦につながります。
33-12 ポストプレー|ゴール近くの体の使い方
ポストプレーでは、オフェンスもディフェンスも位置を取るために体を使います。正当な位置取りは認められますが、押す、押し返す、背中に乗る、腕で相手を押さえるなどはファウルになることがあります。
小学生の試合では、ゴール下で押し合いになりやすい場面があります。強く押して場所を取るのではなく、足の位置、体の向き、手の使い方を安全に教えることが大切です。
33-13 後ろからの不当なガード
後ろから相手に接触して守る場合、不当な接触になりやすくなります。リバウンドやポストプレーで、後ろから押す、背中に乗る、腕をかけるなどはファウルにつながります。
ボールを取ろうとしていたとしても、相手の体へ不当な接触をしてよいわけではありません。「ボールに行ったつもり」でも、相手の動きを妨げていればファウルになることがあります。
33-14 ホールディング|相手をつかむファウル
ホールディングは、相手の体、腕、ユニフォームなどをつかんで動きを妨げるファウルです。抜かれそうになったとき、リバウンドで場所を取られそうなとき、思わずユニフォームをつかむ場面があります。
初心者には「つかんで止めるのはファウル」とシンプルに伝えると分かりやすいです。
33-15 プッシング|相手を押すファウル
プッシングは、手や体で相手を押して動かすファウルです。リバウンド、ドライブ、ポストプレー、ルーズボールで起こりやすい接触です。
「場所を取りたい」「相手を止めたい」という気持ちが強くなると、手や体で押してしまうことがあります。指導では「押して場所を取らない」「足で先に入る」と伝えるとよいでしょう。
33-16 ファウルをされたように見せかけること
接触がない、または軽い接触なのに、大げさに倒れたり反応したりしてファウルを受けたように見せる行為は問題になります。
ミニバスでは、まず安全に、正直にプレーすることが大切です。指導者は、相手や審判をだますようなプレーではなく、正しい姿勢でプレーすることを伝えましょう。
ファウルとバイオレーションは分けて考える
第33条はファウル判定の土台ですが、笛が鳴ったすべての場面がファウルではありません。トラベリング、ダブルドリブル、アウトオブバウンズなどはバイオレーションであり、通常は個人ファウルとして記録されません。
ファウルとバイオレーションの違いは、第22条「バイオレーション」でも整理しています。TO初心者は、審判がファウルを宣したのか、バイオレーションを宣したのかを落ち着いて確認しましょう。
第33条を審判初心者が見るチェックリスト
- 接触があったか
- その接触は不当か
- どちらが先に正当な位置を占めていたか
- 守備者はリーガルガーディングポジションを取っていたか
- 相手のシリンダーへ不当に入っていないか
- 真上に跳んでいるか、前に飛び出しているか
- 手や腕で押す、つかむ、止める動きがないか
- スクリーンは止まっていたか
- 接触によって相手の動きやプレーに影響が出たか
- ミニバスではノーチャージセミサークルを適用しないことを理解しているか
指導者・保護者が知っておきたいこと
ファウル判定は、接触の有無だけでは決まりません。子どもには「押さない」「つかまない」「手で止めない」「まっすぐ守る」「相手の進路に遅れて入らない」と伝えると分かりやすいです。
保護者は、接触があっても笛が鳴らない場面があることを知っておくと観戦しやすくなります。ミニバスでは安全面が大切なので、強い接触や危険なプレーは、勝ち負けよりも早めに整えていくことが大切です。
インタープリテーション解説|コンタクトの判断で迷いやすい場面
ここからは、条文本文とインタープリテーションの関係を分けて整理します。今回確認した範囲では、第33条「コンタクト:基本概念」に直接対応するミニバス独自のインタープリテーションは確認できませんでした。
そのため、この記事では条文本文に基づき、シリンダー、真上の権利、リーガルガーディングポジション、手や腕の使い方など、接触があったときの基本的な見方を中心に説明しています。実際の判定では、JBAの講習会資料や大会ごとの確認事項もあわせて確認してください。
よくある質問
Q. 接触があれば必ずファウルですか?
A. 必ずではありません。接触の原因、位置、有利不利、プレーへの影響を見て判断します。
Q. ディフェンスが立っていたら必ずオフェンスファウルですか?
A. 必ずではありません。守備者がリーガルガーディングポジションを取っていたか、接触の原因がどちらにあるかを見ます。
Q. 手で少し触れたらファウルですか?
A. 触れただけで必ずファウルではありません。ただし、相手の動きを止めたり、押したり、つかんだりするとファウルになります。
Q. ミニバスでもノーチャージセミサークルはありますか?
A. 2026ミニバスケットボール競技規則では、ノーチャージセミサークルの規定は適用しません。
Q. 審判初心者はまず何を見ればよいですか?
A. まず、どちらが正当な位置を占めていたか、接触の原因はどちらか、相手の動きに影響が出たかを落ち着いて見ましょう。
まとめ
第33条は、コンタクトとファウル判定の基本を定めた重要な条文です。接触があっても、必ずファウルになるわけではありません。
シリンダー、真上に跳ぶ権利、リーガルガーディングポジションを理解すると、チャージング、ブロッキング、手や腕の使い方、スクリーン、ポストプレーなどの見方が整理しやすくなります。
ミニバスではノーチャージセミサークルは適用しません。審判初心者は、接触の有無だけでなく、位置、原因、影響、有利不利を落ち着いて確認することが大切です。指導者は、子どもに「押さない、つかまない、手で止めない、まっすぐ守る」と前向きに伝えていきましょう。
2026年競技規則の各条文をまとめて確認したい方は、2026バスケットボール競技規則をミニバス向けに解説|第1条〜第50条まとめをご覧ください。

