ミニバスでは、ボールを持った選手が相手に近くで守られて、なかなかパスやドリブルができない場面があります。このときに関係するのが、第27条「近接してガードされたプレーヤー」の5秒ルールです。
同じ「5秒」でも、アウトオブバウンズからボールを入れるスローインの5秒ルールとは場面が違います。審判初心者は、「近くで守られているか」「ボールを持っているか」「5秒以内にパス・ショット・ドリブルをしたか」を落ち着いて見る必要があります。
この記事では、2026バスケットボール競技規則 第27条をもとに、近接してガードされたプレーヤーの考え方を整理します。条文本文の要点と、インタープリテーションに基づく実戦例は分けて解説します。
第27条の全体像
第27条「近接してガードされたプレーヤー」は、主に次の内容を定めています。
- 27-1 定義:近接してガードされているプレーヤーとはどのような状態か
- 27-2 ルール:近接してガードされたプレーヤーは、5秒以内にパス、ショット、ドリブルをしなければならないこと
初心者向けには、「ボールを持ったまま、相手に近くで正当に守られて動けない状態が続くと、5秒バイオレーションになる」と考えると分かりやすいです。
27-1 定義|近接してガードされたプレーヤーとは
27-1では、コート上でライブのボールを持っているプレーヤーが、相手プレーヤーに近くで正当に守られている状態が整理されています。距離の目安としては、約1m以内で積極的にガードされている場面を考えると分かりやすいです。
初心者向けには、「ボールを持った選手のすぐ近くにディフェンスがいて、正当な守備姿勢でプレッシャーをかけている状態」と説明できます。ただ近くに人がいるだけでなく、守備側がプレーに影響する位置でガードしているかを見ることが大切です。
ミニバス現場では、ガードの選手がボールを持ったまま相手ディフェンスに近くで守られている場面、コーナーでボールを持った選手が近距離で囲まれている場面、ドリブルを止めたあとに相手が近くで正当に守っている場面などで関係します。
一方で、ボールを持っている選手から相手が十分に離れている場合は、近接してガードされているとは言いにくい場面があります。また、守備側が押す、叩く、つかむなどの不当な接触をしていれば、5秒ではなくファウルの可能性も確認します。
審判初心者が見るポイント
- ボールを持っているプレーヤーかどうか
- 相手ディフェンスが近くにいるか
- 相手ディフェンスが正当なガードをしているか
- ただ近くに立っているだけか、実際にプレッシャーをかけているか
- 守備側に押す、叩く、つかむなどの接触がないか
27-2 ルール|5秒以内にしなければならないこと
27-2では、近接してガードされたプレーヤーは、5秒以内にパス、ショット、またはドリブルをしなければならないと整理されています。5秒を超えると、バイオレーションとして相手チームのスローインで再開します。
初心者向けには、「近くで守られている状態で、ボールを持ったまま止まっていられる時間は5秒まで」と考えると分かりやすいです。5秒以内にできる選択肢は、パス、ショット、ドリブルです。
- 5秒以内にパスする
- 5秒以内にショットする
- 5秒以内にドリブルを始める
- 何もできずに5秒を超えるとバイオレーションになる
すでにドリブルを終えている場合は、もう一度ドリブルできません。そのため、パスかショットを選ぶ必要があります。ドリブルを止めたあと、相手に近くで守られてパスを出せないまま5秒を超える場面は、ミニバスでも起こりやすいです。ドリブルの終わりやダブルドリブルとの関係は、第24条 ドリブルの記事でも整理しています。
また、ドリブルを始める前に足が動くと、5秒ではなくトラベリングが問題になる場面もあります。足の使い方との違いは、第25条 トラベリングの記事も合わせて確認すると理解しやすくなります。
スローインの5秒ルールとの違い
同じ「5秒」でも、第17条スローインの5秒ルールと、第27条近接してガードされたプレーヤーの5秒ルールは場面が違います。どちらもバイオレーションですが、審判が見るポイントは異なります。
| 項目 | 第27条 近接してガードされたプレーヤー | 第17条 スローイン |
|---|---|---|
| 場面 | コート内でボールを持って近くで守られている | アウトオブバウンズからスローインする |
| 対象 | ボールを持って近接してガードされたプレーヤー | スローインするプレーヤー |
| 5秒以内にすること | パス、ショット、ドリブル | コート内へボールを投げ入れる |
| 審判が見るポイント | 守備者との距離、正当なガード、ボール保持 | ボールを渡したタイミング、ライン、スローイン位置 |
| 違反後 | 相手チームのスローイン | 相手チームのスローイン |
スローインの5秒は、外からボールを入れるときの制限です。詳しくは、第17条 スローインの記事と、保護者向けのミニバスの5秒ルール記事で確認できます。
インタープリテーション解説|近接してガードされた場面の見方
ここからは、競技規則の条文本文ではなく、2026バスケットボール競技規則解説(インタープリテーション)をもとに、実際の試合で起こりやすい場面を整理します。
インタープリテーションでは、近接してガードされたプレーヤーが4秒間ガードされたあとにボールをファンブルし、再びキャッチした場面が扱われています。この場合、ファンブルしたことだけでは、パス、ショット、ドリブルをしたことにはなりません。
初心者向けには、「ボールをうっかりこぼして拾い直しただけでは、5秒の問題が消えるとは限らない」と考えると分かりやすいです。ファンブルはドリブルとは別の動きとして整理されるため、審判初心者は、ボール保持者が本当にパス、ショット、ドリブルをしたのかを確認します。
ただし、この例を広げすぎて、すべてのファンブルを同じように扱うと危険です。実際の判定では、相手が触れたのか、ファンブルなのか、ファウルが先にあったのか、プレーの流れを確認します。不明な場面は、審判講習会や大会ごとの運用も確認しましょう。
第27条でよくある誤解
誤解1:相手が近くにいたら必ず5秒カウント
相手が近くにいるだけではなく、正当にガードしているかが大切です。守備者との距離、姿勢、プレッシャーの有無を見ます。
誤解2:ドリブル中も常に5秒になる
第27条は、コート上でライブのボールを持って近接してガードされているプレーヤーを扱います。ドリブル中やドリブルを終えた後の扱いは、条文やインタープリテーションに沿って確認します。
誤解3:5秒を数えるのはTOの仕事
第27条の5秒を判定するのは審判です。TOが5秒バイオレーションを判定するわけではありません。観戦者やTO初心者は、審判のシグナルとスローインの方向を見ます。
誤解4:5秒なら何でも同じルール
スローインの5秒、第27条の5秒、フリースローの5秒など、同じ5秒でも場面が違います。この記事では、コート内で近くに守られたプレーヤーの5秒を扱っています。
第27条を審判初心者が見るチェックリスト
- プレーヤーはコート内でライブのボールを持っているか
- 相手ディフェンスは近くにいるか
- 相手ディフェンスは正当なガードをしているか
- 距離が離れていないか
- 守備側に押す、叩く、つかむなどの不当な接触はないか
- 5秒以内にパス、ショット、ドリブルをしたか
- ドリブルを終えた後に、もう一度ドリブルしようとしていないか
- 第17条スローインの5秒ルールと混同していないか
- 笛の後、相手チームのスローイン方向をはっきり示しているか
指導者が選手に伝えたいポイント
指導者は、ボールを持った選手だけでなく、周りの味方の動きもセットで伝えるとよいです。近くで守られた選手が5秒にならないためには、味方がボールをもらいに動くことも大切です。
- ボールを持って止まったら、早く判断する
- 相手に近くで守られたら、パス、ショット、ドリブルのどれかを選ぶ
- ドリブルを止めたあとに困らないよう、止まる前に次のプレーを考える
- 味方は、ボールを持った選手が5秒にならないように動いて助ける
- 小学生には「持ったまま固まらない」「困ったら味方がもらいに行く」と伝える
- ディフェンス側には、押さず・叩かず・近くで正当に守ることを教える
TO初心者・観戦者が知っておきたいこと
第27条の5秒バイオレーションを判定するのは審判です。TOが5秒を数えて判定するわけではありません。5秒バイオレーションはファウルではなく、バイオレーションです。
基本的に個人ファウルやチームファウルには数えません。5秒バイオレーション後は、相手チームのスローインで再開します。バイオレーションの代表例をまとめて見たい場合は、ミニバスでよくあるバイオレーション5選も参考になります。
笛の理由を観戦中に整理したい場合は、ミニバスでよくある笛の理由5選も確認しておくと、ファウルとバイオレーションを分けて見やすくなります。
よくある勘違い
相手に近くで守られたら、必ず5秒ルールになりますか?
必ずではありません。ボールを持っているか、相手が近くで正当にガードしているかなどを確認します。
第27条の5秒ルールとスローインの5秒ルールは同じですか?
いいえ。第27条はコート内でボールを持ったプレーヤーが近くで守られている場面の5秒ルールです。スローインの5秒ルールは、アウトオブバウンズからボールを入れる場面のルールです。
5秒以内に何をすればよいですか?
パス、ショット、またはドリブルをする必要があります。何もできずに5秒を超えるとバイオレーションになります。
5秒バイオレーションはファウルですか?
いいえ。5秒バイオレーションはファウルではなく、バイオレーションです。基本的に個人ファウルやチームファウルには数えません。
TOが5秒を数えるのですか?
いいえ。第27条の5秒バイオレーションを判定するのは審判です。TOは審判のシグナルと再開方法を確認します。
まとめ
第27条は、近接してガードされたプレーヤーの5秒ルールを定めた条文です。ボールを持ったプレーヤーが、相手に近くで正当に守られている場合、5秒以内にパス、ショット、ドリブルをする必要があります。
スローインの5秒ルールとは場面が違います。第27条の5秒バイオレーションはファウルではなく、バイオレーションです。
審判初心者は、守備者との距離、正当なガード、接触の有無、5秒以内のプレーを落ち着いて確認することが大切です。指導者は、選手に「ボールを持って固まらない」「味方が助けに行く」ことを伝えるとよいでしょう。
2026年競技規則の各条文をまとめて確認したい方は、2026バスケットボール競技規則をミニバス向けに解説|第1条〜第50条まとめをご覧ください。


コメント