ミニバスの試合では、1つの笛だけで処置が終わる場面もあれば、複数のファウルやバイオレーションが続けて起きる場面もあります。
たとえば、ファウルのあとにテクニカルファウルが起きた、両チームに罰則がある、フリースローとスローインが重なるような場面です。このようなときに、どの罰則をどう整理するかを定めているのが第42条「特別な処置をする場合」です。
初心者には少し難しい条文ですが、「複数の処置が重なったときに、順番を整理するルール」と考えると分かりやすくなります。この記事では、2026ミニバスケットボール競技規則 第42条をもとに、審判初心者・TO初心者にも分かるように特別な処置の基本を整理します。
第42条の全体像|複数の罰則が重なったときの整理ルール
第42条は、大きく次の内容に分かれます。
- 42-1 定義:特別な処置をする場合とは何か
- 42-2 手順:複数の罰則をどう整理するか
第42条は、ファウルやバイオレーションが重なったときに、どの処置を残し、どの処置を取り消すかを整理する条文です。第41条のチームファウルや、テクニカルファウル、アンスポーツマンライクファウル、ディスクォリファイングファウルなどが重なると、通常より確認が多くなります。
42-1 定義|特別な処置をする場合とは
同じ止まった時間帯の中で、複数のファウルやバイオレーションが起きることがあります。それぞれに罰則がある場合、すべてを単純に足し算するのではなく、競技規則に従って整理します。
この整理が必要になる場面を、第42条では「特別な処置をする場合」として扱います。初心者向けに言えば、「いくつかの笛や罰則が重なったときに、試合を正しく再開するための整理」です。
- ファウルが起きた後に、別のプレーヤーがテクニカルファウルをした
- 両チームにファウルの罰則がある
- フリースローの前後で別の違反が起きた
- スローインで再開する予定だったが、その前に別のファウルが起きた
このような場面では、審判とTOが確認する時間が必要になります。焦って再開するよりも、何が起きたかを正しく整理することが大切です。
42-2 手順|どの罰則を残すかを順番に整理する
複数の罰則がある場合、審判はそれぞれのファウルやバイオレーションの順番、種類、罰則を整理します。第42条では、すべてのファウルと罰則を記録し、起きた順番に沿って確認する考え方が示されています。
そのうえで、両チームに同じ重さの罰則がある場合は、相殺されることがあります。相殺された罰則は実行せず、相殺されずに残った罰則を競技規則に従って処置します。
初心者向けには、次のように考えると整理しやすいです。
- まず、起きたファウルやバイオレーションを順番に並べる
- それぞれの罰則を確認する
- 同じような罰則が両チームにある場合は、相殺できるか確認する
- 最後に残った罰則を、順番に処置する
また、テクニカルファウルの罰則は原則として先に処置する考え方があります。ただし、ベンチ関係者の失格に伴ってヘッドコーチに記録される場合など、扱いが難しい場面もあります。TO初心者は自分だけで判断せず、審判の伝達を必ず確認してください。
すべての同じ重さの罰則が相殺された場合は、得点が入ったのか、どちらかのチームがボールをコントロールしていたのか、どちらにもボールの権利がなかったのかによって再開方法が変わります。ジャンプボールシチュエーションになる場合は、第12条ジャンプボール、オルタネイティングポゼッションの考え方も関係します。
初心者向け|特別な処置は3ステップで考える
1. 何が起きたかを順番に確認する
まず、どのチーム、どのプレーヤーに、どんなファウルやバイオレーションがあったかを確認します。ここで順番を間違えると、その後の処置も分かりにくくなります。
2. それぞれの罰則を確認する
次に、それぞれの罰則を確認します。フリースローなのか、スローインなのか、得点が認められるのか、記録だけなのか、失格や退場に関係するのかを整理します。
3. 相殺できる罰則を整理し、残った罰則を処置する
両チームに同じ重さの罰則がある場合、取り消されることがあります。相殺されない罰則が残った場合は、審判の指示に従って処置します。
よくある特別な処置のイメージ
ファウルの後にテクニカルファウルが起きた場合
通常のファウルの処置に加えて、テクニカルファウルの罰則が関係することがあります。どちらを先に処置するか、どの罰則が残るかは審判が整理します。TOは審判の伝達を待ちましょう。
両チームに罰則がある場合
両チームに同じような罰則がある場合、相殺されることがあります。相殺されない罰則が残る場合は、その罰則を処置します。ここで大切なのは、ファウルの記録と罰則の実行を分けて考えることです。
フリースローとスローインが重なる場合
フリースロー後にどちらのチームのスローインで再開するかを確認します。ミニバスでは一般競技規則のスローインラインをそのまま使わないため、再開位置はミニバス版の規定と審判の指示に従います。スローインの基本は、第17条スローインの記事でも整理しています。
退場や失格が関係する場合
アンスポーツマンライクファウルや、ディスクォリファイングファウルなどが関係する場合は、記録と処置を特に慎重に確認します。TO初心者は、誰に記録するのか、フリースローはあるのか、再開方法はどうなるのかを必ず確認してください。
TO初心者が混乱しやすいポイント
すべての罰則をそのまま実行するとは限らない
複数の罰則がある場合、相殺されるものがあります。ファウルは記録しても、フリースローやスローインの罰則は実行しない場面があるため、審判の整理を待つことが大切です。
どちらのチームのフリースローか迷う
両チームに罰則がある場合、フリースローの有無や本数が分かりにくくなります。TOは自分だけで判断せず、審判の伝達で確認します。
再開方法が分かりにくい
フリースロー後なのか、スローインなのか、どちらのチームのボールなのかを確認します。すべての罰則が相殺され、どちらにもボールのコントロールがない場合は、ジャンプボールシチュエーションになることがあります。
記録するファウルと処置する罰則を混同する
ファウルは記録するが、罰則は相殺される場合があります。記録と処置は同じではありません。ここを分けて考えると、第42条の理解がかなり楽になります。
記録と処置は分けて考える
特別な処置では、「ファウルを記録すること」と「フリースローやスローインを実行すること」を分けて考える必要があります。
たとえば、ファウル自体は記録されても、その罰則が相殺されてフリースローを行わない場面があります。反対に、相殺されずに残った罰則は、競技規則に従って実行します。
TO初心者は、誰にファウルを記録するのか、どの罰則を実行するのかを審判に確認してください。第40条の5個のファウルを宣せられたプレーヤーや、第41条のチームファウルにも関係するため、記録欄を落ち着いて確認しましょう。
審判初心者が見るポイント
- 何が起きたかを時系列で整理できているか
- どのチーム、どのプレーヤーに罰則があるか
- それぞれの罰則は何か
- 同じ重さの罰則として相殺されるものがあるか
- 残る罰則は何か
- フリースローの本数は何本か
- フリースロー後の再開方法は何か
- ミニバスで適用しないスローインラインやスリーポイントの説明を持ち込んでいないか
- TOに分かりやすく伝達できているか
TO初心者が見るポイント
- 審判の説明を最後まで聞く
- 誰にファウルを記録するか確認する
- チームファウルに数えるか確認する
- フリースローがあるか確認する
- フリースローの本数を確認する
- 再開方法を確認する
- 相殺された罰則と、残った罰則を混同しない
- 分からない場合は、スコアラー、TO主任、審判に確認する
指導者・保護者が知っておきたいこと
第42条は難しい条文なので、観戦中にすぐ理解できない場面があります。複数のファウルや罰則が重なると、審判とTOが確認する時間が必要になります。
その確認時間は、正しく再開するために必要な時間です。保護者やベンチは、焦らず審判の説明を待つことが大切です。指導者は、子どもたちに「審判とTOが整理している時間」と伝えると、落ち着いて次のプレーに向かいやすくなります。
また、ミニバスではスリーポイント規定やスローインラインなど、一般競技規則と違う部分があります。大人が一般ルールの感覚だけで判断せず、ミニバス版の競技規則に沿って確認する姿勢が大切です。
インタープリテーション解説|特別な処置で迷いやすい場面
【インタープリテーション解説】ここからは、条文本文ではなく、インタープリテーションに基づく実戦例の考え方です。
2026バスケットボール競技規則のインタープリテーションでは、第42条に関して、ゲームクロックが止まっている間に複数の違反やファウルが起きた場合、審判が発生順序と罰則を整理し、どの罰則を相殺し、どの罰則を適用するかを判断する考え方が示されています。
ただし、一般競技規則のインタープリテーションには、3点、スローインライン、フロントコート・バックコート、ショットクロックの14秒など、ミニバスではそのまま使わない内容が含まれることがあります。ミニバスの記事では、一般競技規則の処置を丸ごと当てはめず、2026ミニバスケットボール競技規則と大会運用に合わせて確認することが大切です。
初心者は、具体的な難しい事例を暗記するよりも、「順番を確認する」「罰則を確認する」「相殺できるか確認する」「残った罰則を処置する」という流れを押さえておくと、審判やTO主任の説明を理解しやすくなります。
よくある質問
Q. 第42条の「特別な処置」とは何ですか?
A. 複数のファウルやバイオレーション、複数の罰則が重なったときに、どの罰則を実行するか整理するためのルールです。
Q. 複数の罰則があれば全部行いますか?
A. 必ずではありません。両チームに同じような罰則がある場合、相殺されることがあります。
Q. ファウルは記録するけれど、フリースローはしないことがありますか?
A. あります。ファウルは記録されても、罰則が相殺されるなどしてフリースローを行わない場面があります。
Q. TOは何を確認すればよいですか?
A. 誰に記録するのか、どの罰則が残るのか、フリースローの本数、再開方法を審判に確認します。
Q. ミニバスでも第42条は関係しますか?
A. はい。頻繁ではありませんが、複数のファウルや罰則が重なる場面では関係します。
まとめ
- 第42条は、複数の罰則が重なったときの整理ルール
- すべての罰則を単純に足し算するわけではない
- 同じ重さの罰則は相殺されることがある
- 残った罰則を競技規則に従って処置する
- 記録するファウルと実行する罰則は分けて考える
- TO初心者は、誰に記録するか、フリースロー、本数、再開方法を審判に確認することが大切
- 指導者・保護者は、審判とTOが確認する時間を落ち着いて待つことが大切
第42条は、覚えるというより「整理のしかた」を理解する条文です。複雑な場面ほど、審判・TO・チームが落ち着いて確認することが、子どもたちの試合を安全で公平に進めることにつながります。
2026年競技規則の各条文をまとめて確認したい方は、2026バスケットボール競技規則をミニバス向けに解説|第1条〜第50条まとめをご覧ください。

